「あれ?じゃねぇか。」



校舎を出て、校門の方へ歩いている途中、グラウンド側から出てきたであろうクラスメイトに声をかけられた。



「山本!部活が終わって、今から帰るところ?」

「あぁ、そうだぜ。」

「そっか、お疲れー。相変わらず、野球部は大変そうだね。」

「ハハ、そんなことねぇよ。でも、ありがとな。・・・・・・で、は?部活はやってなかったよな?」

「私はさっきまで図書室で本を読んでたんだよ。ずっと借りたかった本だったから、つい時間を忘れて読みふけっちゃって。」

「やっぱ、は頭いいのな。」

「そんなことないよ。本も、別に難しいものを読んでたわけじゃないし。」

「それでも、俺よりかは充分いいって。」

「・・・・・・そ、そんなことはないんじゃない?」

「いいって、いいって!無理して庇ってくれなくても。本当に、俺はより頭悪ぃし。だからこそ。俺がわからないときは、いろいろと教えてくれよな!」



そう言って、山本は肩を組むように、私に勢いよく腕を乗せた。
これが山本相手じゃなければ、急に何するの?!とでも文句を言いたくなるかもしれない。・・・・・・いや、そもそも、この歳で異性にこんなことができるのは、山本ぐらいしかいないか。
とにかく、山本は何事も爽やかにやってのけるから、憎めないんだよね。



「オイオイ、山本・・・・・・。俺の許可なく、に手を出すなよ?」



ましてや、そんな風に思われることもない。逆はあるだろうけど。
・・・・・・って、今の声。



「ディーノさん?!」

「よう、。元気してたか?今、俺が山本を引き離すから・・・・・・。」



などと言いかけた矢先に、ディーノさんは何もない所で盛大に転んだ。
あぁ、今は部下の人たちがいないから・・・・・・。



「ハハ、相変わらずっスね!」

「大丈夫ですか??」



山本が笑い飛ばすぐらいだから、大したことではないんだけど。でも、やっぱり私は心配で。・・・・・・と言うか、部下の人たちがいないときのディーノさんって、ものすごく放っておけない。いや、むしろ。放っておいてはいけないような気がするんだよね・・・・・・。
だから、私はディーノさんに手を差し出そうとしたけど、それは山本の手によって止められた。



「大丈夫だって、。」

「で、でも・・・・・・。」

「それに、大の男が女子に助けられるなんて、男のプライドを傷つけることになるぜ?」

「たしかに、山本の言う通りだな。ただ、に限ってはそうでもないから、が手を貸してくれるって言うなら、有り難く手を取らせてもらうぜ。」

「それはを女子として見てない、ってことっスか?」

「そんなわけはないに決まってるだろう。俺はなら、自分の弱った部分も見せてもいいと思ってるからだ。もちろん、それ以上には俺を頼ってくれていいからな?」



それは嬉しいですが・・・・・・そんなことを言ってないで、早く立ち上がりましょうよ、ディーノさん。



「ところでディーノさん、何の用でこっちに来たんスか?まさか、に会いに来た、ってわけじゃないっスよね・・・・・・?」

「いや、そのまさかだ。」

「いいんスか?そんなことしてて。」

「今は休暇だからな。」



などと会話をしている間に、ディーノさんはゆっくりでも立ち上がることができそうだった。・・・・・・よかった。
と思ったけど。立ち上がりかけていたディーノさんは、途中で私の手を取り、そのまま跪いた状態で私に言った。



「だから、今日は姫を迎えに来たんだ。・・・・・・どこかへお連れしてもいいですか、姫?」

「え?!」



さすがに私も照れてしまっていると、肩に腕をかけていた山本がサッとディーノさんから離してくれた。
・・・・・・けど、よく考えれば、この体勢のままでいるのも結構恥ずかしい。



「この時間からは、どこも行けないっスよ。は帰るんだろう?」

「う、うん。そうだね、そろそろ帰らないと・・・・・・。」

「じゃあ、俺が送ってやるよ!」

「いや、俺が送って行こう。」

「部下のいないディーノさんにを任せるわけにはいかないっス。」



それはそうだ。ここは山本にお願いしたい。それに、帰るとなれば、山本も腕を離さないと歩きにくいはず。
ほら、離れてくれた。・・・・・・と思った後に。



「じゃ、一緒に帰ろうぜ、!」



と言いながら、山本は手を差し出す。・・・・・・これは??



「手つないで帰った方が安心だろ?」



二カッとした笑顔で言った山本は、爽やか、としか言いようが無かった。でも、いくら爽やかに提案されたところで、乗るわけにはいかない。だって、手をつないで帰るって・・・・・・。さらに恥ずかしい。
でも、爽やかに言われてしまっている分、断りにくさも増してしまっている。



「どうした?帰らねぇのか?」



山本は未だ手を差し出した状態だ。
そこまで言ってくれるのなら、そっちから手を掴んでくれればいいものを・・・・・・。そこは、やっぱり私の意見を尊重したいということなんだろうか?でも、山本の爽やかな笑顔は、私が手を取る、という選択しかできないようにしている。・・・・・・だって、やっぱり断りづらいし。
もしかして、山本、わかっててやってるわけじゃないよね?私から手を掴ませることで、自分が無理にさせたわけじゃないと言いたいんじゃないよね??
そんなことを考えていたら、校舎の方から救世主の姿が少し見え、私はそっちに駆け寄った。



「あー!ツナくん!!」



補習でもしていたんだろう。ツナくんは少し疲れた顔をしている。そんなところに悪いけど、ツナくん。この場をどうにかして!山本もディーノさんも、ツナくんには甘いと言うか、結構弱い部分があると思うんだよね!



「ん?どうしたの、ちゃん。それに、山本、ディーノさんも・・・・・・。」

「ツナくん!私、みんなで帰りたいの!どう??」

「え?う、うん。いいけど・・・・・・。」

「やったぁー!はい、山本もディーノさんも帰りましょう?」

「・・・・・・そうだな。」

「・・・・・・が言うなら仕方ない。」



これで、山本と手をつなぐこともさり気なく遠慮できるし、ディーノさんのお誘いも無視したわけじゃない。うん、さすがはツナくん!そして、さすがは私!よく考えたね!!



「「ツーナー・・・・・・。」」

「ひぃ〜〜〜・・・・・・!(なんか俺、すごい睨まれてるー・・・・・・!!)」













 

ありがたいことに、オフ友に「黒い山本も見てみたい」などと言ってもらい、山本くん単独では書けなさそうだったので、「VSでもいいで」と言ってくれたディーノVS山本夢にしてみました。
・・・・・・とりあえず、そのオフ友、そして読んでくださった皆様、すみません(土下座)。やっぱり、無茶でした・・・orz

大体、『REBORN』キャラに慣れていない上に、難しいVS夢・・・。私にはハードルが高過ぎました・・・(汗)。
もっと甘々な展開とかも入れたかったんですけどね〜・・・。はい、今の私には、これが精一杯でした・・・(苦笑)。

('10/08/26)